2023年はまず手を動かすつもりで、勢いでアプリを開発していた。やって試して振り返り、試行回数を稼ぐのは大事だが、それではたぶんうまくいかない。
「やろう」と閃くのは一瞬だが、実際に個人開発で作るのは1ヶ月かかる。少なくとも2日くらいは競合の分析や需要の分析、マーケティング、アプリの”ウリ”についてちゃんと頭を使って考えてから手を動かすように方向転換する。
ToDo リストが失敗した理由の分析
ダウンロード数は1日3件程度であった。作った理由は「自分が欲しかったから」
「自分がほしいものを作ればいい」と競合を分析せずに作り始めた。
しかし改めて競合を見ると、 Google からも ToDo リストが出ているし、他の競合でも十分に需要を満たしていて、そこに新たな需要はなかったように思える。
もちろん、個人開発でも既存のアプリにはない魅力的な特色を出せれば飽和した市場のアプリでもどんどんダウンロードされている。
失敗の原因
- 他のアプリから乗り換える理由がない。
- 他に良いアプリがたくさんあって、このアプリを新たに使う理由がない。
「欲しい物を作る」というモチベーションは正しくない
2023年は、「自分が使うもの」「自分がほしいもの」を一通り作ろうと思って、「自分が使う」をモチベーションに開発していた。アプリの勉強としてはそれで良いが、売れるアプリを作るためには間違っている。
「自分が使う」はモチベーションとして重要である。また、自分が使えば改善点も見えてきて、アプリが良くなる可能性は高い。
それ以上に、「需要がある」「競合のアプリで満たせてない機能を実装している」「シンプルで使いやすい」ことが重要であった。
個人開発ではできれば機能をごちゃごちゃ詰め込むよりも、1つのことをシンプルに実現しているものが良い。目安としては1週間で基本機能が一通り実装できる程度の規模にする。
タブを複数作りたくなった場合は、機能を分割して別アプリにしても良い。
全く React Native に慣れていなかった頃、1つの機能しかない ToDo リストを作ってリジェクトされた。その苦い経験から、無駄にタブを増やすようになった。しかし、リジェクトされたのは、機能が1つしかなかったからではなく、しょぼかったからだ。
1つの機能をうまくやるのが良い。少なくともコンセプトは1つにして、ごちゃごちゃと詰め込まない。1週間でプロトタイプを作り、2週間でリリースする。
Google の Todoリストを使ってみて
自分は別アプリとして、週間カレンダーのような「日付」を出して、日付ごとの ToDo を作れたらいいなと思っていた。
Google カレンダーの「3日」表示のその日の中に ToDo を入れていくイメージ。
Google ToDo は、ToDo に日付は設定できるものの、日付にぶら下がるような形の ToDo ではなかった。
ToDo は日付を指定してメモしておいて、完了したら「完了したタスク」にする。完了したタスクは消せるようにする。
実際に使ってみると、それでよかった。
いつ、何日にどんな ToDo をしたかはそれほど重要ではない。それは ToDo とはまた別の概念になる。
自分がやろうとしてたことをよりよい形で、使いやすく、わかりやすく実現していたアプリがあった。事前の研究が不足していた。
アイデアの検証
AI で英語の添削できるチャットアプリ
自分のメリットで考えた。
- チャットのようなUIを作る練習ができる
- 英語の勉強ができる
競合は 「AI TALK ENG – AI English Tutor」 というアプリ。
自分が考えている内容を実現しているにも関わらず、2023年12月時点で評価は 2 Rating。
あまり需要がなかった可能性が高い。また、本家の ChatGPT で実現できているので、わざわざ AI 英会話アプリを使うモチベーションがわかないのかもしれない。
学び
- 「本家」でできることに手を出さない
- 現時点で需要がないものに手を出さない
毎日継続
継続したいタスクを登録して、「できたかできないか」を記録するアプリ。
自分が Unity やアルゴリズムの勉強、ストレッチなどを毎日続けたいなと思ったことから。
筋トレのように、2日おきに継続するべきタスクなどを分けて登録できたら嬉しいと思った。
継続する技術
「継続」検索で1番最初に出てくるのが「継続する技術」 bondavi Inc. さんの作品だ。
4.1万件のレビューで 4.8 という脅威の点数を叩き出している。
「毎日の応援コメント」という機能で、継続を応援しているようだ。
ユーザーが毎日使うモチベーションを上げる、というのは大事なのだ。
また、初期の画面に「何を続けるか決める」「ここで決めたことを30日続ける」「5分で達成できる、最低限の目標」とある。
めちゃくちゃハードルが低い。目標を設定したあとも「本当に5分でできる目標ですか?」と聞いている。 5分以上かかる目標は絶望的に成功率が低くなるとのディスクレーマーもある。
自分は毎日2時間以上かかる個人開発でも毎日続けてきたので、人間が怠惰であることに気付けていなかった。
世の中の大半の人間は根気がなく、意識が低い割に達成感を求め、誰かにモチベートされないと努力を続けられない。
仕事や受験などで切羽詰まらない限り、自発的な努力は継続できない。
人間は怠惰な生き物である、という真実に目を向けなければならない。意識が高く、毎日努力できるような人間は個人開発のアプリをダウンロードしない。
つまり、もっと怠惰でどうしようもない人間を意識して、そういう人が簡単に優しく使えるようなアプリにするべきなのだ。
また、「継続」の対象を1つに絞っている。ハードルを下げて、達成感を得られるようにしている。
優しいように見えるが、これはおそらくマーケティングだ。ユーザーが毎日使いたくなるような工夫なのだ。
1つのことを簡単に、毎日継続できる。継続しているのが目に見えて、しかも応援されるから、毎日続けたくなる。
そういう意味では、習慣系のアプリでは「通知」は必須に見える。
続けていることを褒めて、継続するモチベーションを刺激してやらないと、ユーザーは続かなくなるのだ。
学び
- 継続を応援する仕組みを作る
- Firabase を使って、 Push 通知を送る
DotHabit
Shuto Yada さんのアプリ。2018年頃から作られている。
UIが柔らかくて使いやすい。わかりやすい。
楽しい感覚
「マスを塗っていく感覚が楽しい」
GitHub の草を生やすような感覚で楽しめる。
最初に使うときに迷わない
使い方のガイドが充実している。 Tutorial だけでなく、「こんなのを入力してはどう?」という補助が至るところにあった。
単機能である
「習慣を記録する」機能だけ。グラフを作ったり余計なことはしてない。「マスを塗って、継続を記録する」
シンプルにこれだけやっている。
トラッキング許可の仕様
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利用者に合わせた広告を配信するために使用されます。
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このポップアップが初回に表示される。 逆に Google Admob っぽい画面は出てこない。過去のアプリだからだろうか?
UI の工夫
右上に設定ボタンがある。そのボタンを押せば、「会員登録する」などの設定画面が出てくる。